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第44話 次に呼ばれる名前

Author: 花柳響
last update publish date: 2026-06-27 18:01:16
「お水、少し替えましょうか」

 スタッフの女性が、係員に目で合図しかけた。

 私は小さく首を振る。

「このままで大丈夫です」

 声はまだ硬かった。

 けれど、席は立たなかった。

 私はグラスに手を伸ばした。

 思ったより重い。

 水を飲むと、口の中に残っていた熱が、ゆっくり下りていく。

 律は、私が水を飲み終えるまで待った。

 代わりに怒ることもしなかった。

 ただ、相良さんに向かって告げた。

「今のやり取りは残してください。誰かの判断で消さないように」

「承知しました。記録として保全します」

「そのうえで、会は戻します」

 律は、それ以上を求めなかった。

 あの人なら、場を止めることもできたはずだ。

 未央をその場で退席させることも、如月家を名指しで牽制することもできたと思う。

 ただ、そうはしなかった。

 私の席を、騒ぎの中心にしないためだろう。

 そう分かってしまう自分が、少し怖かった。

 私はグラスを置いた。

「……止めないんですね」

 声は小さかった。

 律だけに届けばよかった。

「止めてほしいなら、止めます」

「そういう確
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